H山中A湖畔・・・つい箱根山中湖芦ノ湖湖畔と読んでしまう。 (正解は何?)
 乱歩初の長編ものだそうです。書いた本人はお気に召さなかったようだけど、私は大変面白かったです。
 趣味の覗き見で風呂場を覗いていたところ、殺人現場を目撃(させられて)しまった主人公。ヒッチコックの裏窓をもうひとひねりいれた感じ。奇形児もパノラマも猟奇殺人も明智さんもでないけど、その分ミステリー部分が強調されたんじゃないかと思われます。でも、一番気になるのは謎解きが終わった後の付け足し部分。もう一ひねりありそうで気になるのです。真相は一体何? もし続編を書くとしたら河野側からの告白で読んでみたいです。(そんなことはありえないけど)

おすすめ度:4

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 この世には三人までそっくりな人間が存在するというけれど・・・。これは自分によく似た他人の人生を盗んだ男の物語。
 乱歩の好きな設定の一つ「パノラマ」が、ここでは屋外の、しかも小島まるまる使って登場。何しろ島一つ、ありったけの財産をつぎ込んでパノラマに仕立てたものだから、スケールの大きさは群を抜いてます。まるで一大テーマパーク。
 パノラマを作ることに熱中する乱歩の書く主人公(犯人)たちを見ていて、ずっとこれは私の知っている誰かに似ていると思っていたのだが、ようやくそれが誰かわかりました。あのバヴァリアの狂王ルートヴィヒU(1845〜1886)と一緒なんです。ルートヴィヒの築城(ノイシュバンシュタイン城、リンダーホフ城、ヘーレンキームゼー城)に対するポリシーと熱情は限りなく乱歩的なのです。

おすすめ度:4

戻ル






































 これはトリックもさることながら、事件を複雑にした張本人は関係者各自の善意と勘違いというところが面白かったです。どんな作為的なトリックや動機よりもやっかいなものがあるとしたら、それは「勘違いと偶然の重なり合い」なのかもしれません。
 にしても、一寸法師(小人)が義足をつけただけで、身体的特徴を隠せるとはどうしても思ません。たとえば白雪姫に出てくる7人のこびとに義足だけつけて上げ底にしても、義手でもはめないことにはとてもバランスが悪いと思うのですが、どうなんでしょう。

 さて、この作品の一番の愛すべき人物は、やはり明智さんの昔の下宿仲間、小林紋三くんでしょう。彼の早とちりと勘違いは本当に可愛い。特に自分の勘違いに気付いたときの彼の(心の中の)リアクションが絶品です。そして何もかも見抜いててわざと泳がせていた明智さんもかわいいけど人が悪い。でも、明智さんのそういうとこ、すごく好きです。・・・明智さんってちょっとサドっ気があるのだと思います。「魔術師」で見せた意地の悪い犯人の追いつめ方は、これでもかってくらいサドでした。まるで猫が捕まえた鼠を食べる前に弄ぶようです。明智さん、結構危ない性格です。

おすすめ度:4

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闇に蠢く

 この物語の進藤とホテルの主人が体験した遭難事件と同じ事例が実際にあって、確か『ミニョネット号事件』とか言ったと思います。やっぱり海難事故に遭い、何日もボートで漂流した挙げ句、衰弱した乗組員を殺して食べてしまった事件でした。後に救助された人たちは裁判に掛けられ、一度は死刑判決まで言い渡された(後に減刑)のですよね。誰かの命を救うために誰かを殺すのはたとえ究極の選択であっても、違法性は免れないってことですね。この『ミニョネット号』事件が起きたのが明治中頃だから乱歩はリアルタイムでこのニュースを聞いていたかもしれない。
 さて、海上で人肉を食したというのもグロい話だが、ホテルの主人によって口封じのため洞窟に閉じこめられた進藤ら3人が、ホテル主人の妻の死体を食べたというのもすごい話。いかにも闇に蠢いているって感じがする。これに関しては実話を元にして作った映画『生きてこそ』を思い出します。雪山に飛行機が墜落して、生きるために死んだ乗客の肉を食べたという話でした。せっぱ詰まると食べるんですね・・・。つまり、いつ同じことが我が身に起こらないとも限らないんですね。共食いは・・・・イヤだな。

おすすめ度:3

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  この話、明智さん主役でドラマ化してませんでしたっけ? 天知版明智だったかな、でも秋吉久美子が出ていたような気もするし。思い出せません。どっちにしたって明智さんを主役に持ってこようとすれば、この静子夫人とムチでブチブチな関係になるのは寒川ではなく明智さんになるわけで・・・。しかし、それってかなりの違和感があるのです。明智さんは犯人の美女と間違ってもいかがわしい関係になどなり得ないキャラクターですから。

 さて内容ですが、これはすごくおもしろかったです。おどろおどろしくて日陰の花みたくて妖しくて、それでいて謎めいていて。トリックや推理過程が(多くの明智探偵主役の作品のように)突飛じゃないところがまたいい。また、寒川と小山田夫人とのムチでブチブチしながらのトリック崩しが退廃的・・・・。それになにより小山田夫人が魅力的。たおやかで美しい仮面の下で、おそろしい犯罪に手を染めている。乱歩作品を彩る美しい犯罪者と言えば、小山田夫人の他に緑川夫人、大河原夫人を思い浮かべますが、小山田夫人の犯罪には他二人とは違う哀しさがつきまとっているような気がします。緑川夫人らは自分が犯した罪を愉快がることこそあれ決して後悔しない。しかし小山田夫人は自分のしていることに嫌悪感を持ち続けている。嫌悪しながらも身にわき起こる衝動押さえがたく次々と犯罪を重ねてしまうのです。それはもう性としかいいようがありません。そういう性を背負い、身を滅ぼさなければならなかった小山田夫人がとても哀しく、美しく思えるのです。

おすすめ度:5

*秋吉久美子は稲垣明智バージョンの「陰獣」でした。

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天知版「陰獣」
三田村版「陰獣」
乱歩R「陰獣」

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孤島の鬼


 創元推理文庫・江戸川乱歩シリーズの第一弾を飾るにふさわしい傑作だと思う。
 推理、猟奇、幻想、冒険、恋愛すべてあり。それが消化不良の竜頭蛇尾に終わらず物語に整合性があり(←いまにして思うととんだ勘違いでした)、苦しいときの明智頼みにもならずきちんと完結している、の、だけど・・・・、道雄さんの他を超越する個性で、その何もかもが消し飛んでしまいました。
『諸戸道雄、〜報われない愛とその死〜』
というサブタイトルを附けたいくらいです。いうなればこの話、道雄さんの為にあるようなものです。特にこの小説の最後の一行は・・・・。今まで読み込んできた怪奇推理奇譚はいったい何だったんだろう?と、いうくらい印象的で衝撃的でした。乱歩はこの最後の一行が書きたいが為に、この物語を作ったんじゃないかと思うくらい。(もちろんそれは憶測にすぎないけれど) 道雄さんの蓑浦君に寄せる痛ましい愛に、かぎりない同情を禁じ得ません…・・。
 それにしても、道雄さんの愛を知りながら最後まで拒否し、あろうことかその愛を利用し、挙げ句の果てに事件が解決した後までも道雄さんを利用(病院運営を頼もうと)しようとしていた蓑浦くんって、つくづく罪つくり。道雄さんの愛に応えられないのなら、せめてそっとしておいてやればいいのです。なにも秀ちゃんと幸せになった姿を道雄さんに見せつけなくても・・・。蓑浦くんの幸せは道雄さんの不幸、道雄さんの幸せは蓑浦くんの不幸。残酷な話です。
 この道雄さん、福永武彦著「草の花」の汐見茂思を彷彿とさせます。あの受け入れられない愛への苦悩,煩悶、自殺とも思える最期。道雄さん、病死だけどあれはどう考えたって簑浦君への受け入れられない愛の為に死んでしまったんですよ。ここまでくると、洞窟の中で誰にも発見されず、出口も見つからず(ついでに道雄さんは本懐を遂げて)、愛する蓑浦くんと一緒に死なせてあげたかったです。

おすすめ度:5

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蜘蛛男
 

 お気に入りの一冊。何がお気に入りかってそりゃもちろん、畔柳教授の妖しさですよ。いけない、いけないとわかっていてもふらふらと着いていきたくなる悪の魅力が教授にはあるのです。
そんな危険な魅力にとりつかれ、着いてきた美女に対する教授の仕打ちは残忍際まりございません。畔柳教授は絶対美女を深層心理で憎んでいるに違いないです。昔、美女にこっぴどく振られたのです。いぢめられたのです! 美女に対してとてつもないトラウマを背負っているのです! 力説!

 それはさておき、病的趣味の持ち主、快楽殺人者・畔柳教授の脳から生み出されたパノラマ館は群を抜いてグロテスク。乱歩作品には他にもいろいろパノラマ館が出てくるけど、教授の脳が生み出した49人美女地獄が一番グロいんじゃないでしょうか。大暗室にも拷問窟ってのが出てきたけど、これに比べたらまだまだ甘いって感じなのです。少なくとも大暗室にはこの小説の最大のインパクト、蝋人形〜しかも女装〜に変装した明智小五郎は出てこない。(何故気付かない、畔柳&平田悪役師弟〜!)

 それと、番外ではありますが畔柳教授と平田青年の関係も見逃すわけにはいきません。他人を信用しなかった教授が平田青年だけは最後まで篤く用い、身の振り方まで心配するのです。平田くんの方も教授に忠実で(麻酔で眠らされている教授を抱えての逃亡劇での平田くんの奮闘ぶりは、愛しいくらい健気でした。愛い奴めv)、あまつさえ教授の後を追いかけてあの世にいくと言ってみたり。なんか怪しい二人。明智さんの活躍みてるよりこの二人の言動見ている方が楽しかったです。    

おすすめ度:5

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  おすすめ度100%の中編傑作だと思います!乱歩特有(?)のおどろおどろしさはない代わり、どうトリックが使われたか、そのトリックをどう崩すかで読ませます。現代の本格派推理作家と呼ばれる人の作品集の中に混じっててもおかしくない、それくらい古さを感じない作品だと思います。
 それにただ本格派なだけではなく、茶目っ気もありまして。やせ形の、もじゃもじゃ頭の、いつもニヤニヤ笑っている赤井という男…なんとなく風体が明智さんに似てる、明智さんもどきだろうか、明智さんだったらいいのに〜と、思わせる仕掛けがあるのです。あんまりそう思ったもので、トリック崩しは二の次三の次、一体この話の何を読んでいたのやらと疑うほど明智さん、もとい赤井さんの言動に神経が集中してしまいました。

 この作品のドラマ化希望です。民放でなく、N○Kでやって欲しいです。明智さん・・じゃなくて赤井さんには原作通りの俳優希望。背が高くて二重瞼で鼻が高くて、いつもにこにこ笑っている(見る人によっては底が知れない不敵な笑い)イメージで。
 しかしこうしてみると天知版明智って原作とは全く違うんだな。天知版はどっちかと言えば苦虫を噛み潰したような顔だし、ニヒルで間違っても好青年ではないですからね。

おすすめ度:5

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  追うものがいつの間にか追われるものになり、追っていたものと追われていたものとが同化する、そんな感じのお話です。
 「大川博士の人間大改造」ってのは今で言う整形手術のことですね。整形手術で要人とそっくりな人間を作り入れ替える・・。かなり無理のある計画のような気もしますが、もともと似ている人を使ったのでしょう。
それはそれとして気になるのは明智さんと瓜二つに整形した愛之助のその後ですよね。彼は明智さんと同じ顔のまま刑場に引かれていったのでしょうか。
 ・・・ところで乱歩作品にしばしば登場する浅草公園ってなんかアヤシイんですけど。愛之助が奇跡売りの美青年に会い、奇跡を買ったのも(ついでに変な誤解をしたのも)浅草公園、紋三が一寸法師を見たのも(ついでにオヤジ同士の気味悪いなシーンを見たのも)浅草公園、辻堂が殺人請負の仲介人とあったのも浅草公園・・・。人間豹の隠れ場所も浅草公園・・・。今でこそイメージ湧かないが、当時は犯罪の温床となってもおかしくないくらい十分に怪しい場所だったのでしょう。

おすすめ度:4

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術師  

  明智さんの未来の妻、文代さん初登場。五十嵐めぐみの演った文代さんとは随分印象違うなぁ。五十嵐めぐみ・・・天知版明智時代のキュートでボーイッシュな文代くん。あの文代くんが原作では明智夫人に納まるなんて夢にも思わなかったです。
 乱歩作品にありがちな同じトリック、動機が手を変え品を変え何度も何度も現れます。魔術師の復讐の方法は暗黒星と同じです。でも書かれたのはこちらの方が先だから暗黒星が魔術師の「美青年版リメイク」バージョンになるのでしょうか。
 ところで本編の方なんだけど、この作品一番の見せ場は明智さんが犯人を暴き出すために仕掛けた罠の趣味の悪さでしょう。物理的証拠だけで十分なのに、わざわざ罠を仕掛けて心理的に追いつめて、その様子をみんなで覗き見だなんてとっても嗜虐的っていうか悪趣味というかサドというか。でも、こういうシーンがないと明智って感じがしません。こういうシーンの明智さんって実に生き生きしてて、心底楽しそうです。やっぱり明智さんは真性のサドなんです。
 そうそう、今更言っても仕方ないんだけど、文代さんは魔術師の娘のままのほうがよかったです。稀代の大犯罪者の娘と名探偵のカップルなんてすてきだと思のですが。

おすすめ度:5

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吸血鬼

三谷房夫。ほのかな薔薇の匂いのする美青年(苦笑)。

 小説の登場人物紹介欄でふつう書くとしたら「畑柳未亡人の恋人」とでも書くのだろうが、何故か彼の場合、そのものズバリ「美青年」(創元推理文庫版)なぜなんだ、なにゆえ彼だけそんな書き方なんだ〜〜!?

 それにしても乱歩の美青年の描写っていい。全然手抜きしてないです。男の描写をここまで情熱的にかける(耽美小説家でない)男性作家といえば、菊池◯行ぐらいのものでしょうか。
 しかしこの三谷君、美青年と言っても、かの明智小五郎をよろめかせた暗黒星の一郎青年ほどの描写はなく、あっさり『リチャード・バーセルメスという俳優に似ている美少年のような美青年』と記すにとどまっている。そういわれても、ぜんぜんイメージがわかないのです。仕方ないからただいま現在自分が気に入っている俳優の顔を思い浮かべて代用いたします・・・。(想像中・・・満足する)
 そんなこんなで三谷青年が気に入ってずっと彼派で読みすすめ、おかげで結末には大満足。あれで三谷君が本懐を遂げず、明智さんの完全勝利で終わっていたらどんなに釈然としなかったことでしょう。惜しむらくは、ドラマ化すると異様にないがしろにされるのはこの三谷青年ってことですかな。この小説の影の主役は彼なのに、未亡人の引き立て役以下にされてしまう。一度でいいから原作通りの「吸血鬼」が観てみたいです。

 なにはともあれ、明智さん、ご結婚おめでとう。

おすすめ度:5

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       乱歩R「吸血鬼」

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黄金仮面

 アルセーヌ・ルパンが読んだら気を悪くする内容・・。

 ルブランが書いたルパンとは、黄金仮面の本文にも書いてあったとおり「別人」。はっきり言ってここのルパンのキャラクターは不愉快です。明智さんは清廉潔癖な紳士なのに、ルパンはただの卑劣漢。乱歩作品の犯人はどこかしら惹かれるところがあるのに、言下に“キライ”と言い切れるキャラも珍しいです。
 さてこの話、例によって例のごとく、だいたい犯人の見当がついてしまうのですが、読み始めると止まらない。スピード感のあるストーリー展開でぐんぐん作品の中に引きずり込まれるのです。何かにつけワンパターン気味ではあるけれど、それをものともさせない乱歩のストーリーテラーぶりには感服させられます。
 ところで、ルパンの恋人大鳥不二子はルパンVの峰不二子の原型でしょうか。きっとファンの間では有名な話なんでしょうが、私はこの本を読むまで気が付きませんでした。しかし、ルパン、不二子って並んででてくるとつい、ルパンのテーマソング(Uのエンディング。「愛のテーマ:唄水木一郎」希望)が頭の中で鳴ってしまいます。ほとんど条件反射(笑)

少年探偵団シリーズで二十面相がルパンのトリックを再利用しているのでそのあたりは要チェックです。

おすすめ度:3

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 狙われた美女がまんまと犯人の餌食になるのはいつものことでしたが、明智さんが出てこないのはいつものどおりではありませんでした。こういうストーリー展開だとつい、『明智小五郎華麗なる登場!』を期待してしまうんですがね、裏切られてしまいました。でも、最後の触覚芸術の章で明智さんが出てこないことに納得。それにしても、大内麗子が惨殺されてさらに先が続きそうな状態になったとき、明智探偵なくして乱歩はどうやってこのグロい話の収拾をつけるのか、明智なくしてきちんと終わるのだろうか心配になりましたが、杞憂に終わって良かったです。・・・・しかし、触覚芸術とはねえ…。うまいこと収拾つけたものです。

おすすめ度:3

関連記事:石井監督「盲獣と一寸法師」

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明智さんは出てこない・・・のは当然か。実はわたし、この主人公の蛇のような執念深さと設定の不気味さに、翻案小説だなんて気づかなかったです。原作はどんなのだか知らないけど、原作も翻案と同様、おどろおどろしいのか興味有り・・・。
 さて、翻案とはいえ主人公がどんな手を使って報復していくのか、すごく楽しみに読みました。(なんてったってずっと乱歩オリジナルだとばかり思っていたものだから)気分はもう大牟田子爵の共犯者です。そんなもので復讐途中で明智さんもどきに邪魔されずにすんでホッとしました。(明智さんは登場するだけで場面が華やかになるけど、たまに出てきて欲しくないシチュエーションもあるものです)。でも、あれだけ巧妙にことを進めた大牟田子爵の犯罪がどうやって暴かれ、逮捕に至ったのか書かれていないのが少し残念。

おすすめ度:5

関連記事:西郷版「白髪鬼」
       乱歩R「白髪鬼」

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パノラマ島奇談の前後削って真ん中だけを抜き取り、主人公に快楽殺人犯を連れてきたって感じ。これ、犯人当て懸賞付小説だったらしいけど、犯人と殺人方法はあてずっぽうでもムリヤリでも推理できるかもしれませんが、動機をあてるのはほとんどムリ!。いいのか? こんなばかばかしい動機・・・。乱歩作品ならあり得る、そうじゃないかと思いつつ、あまりのウソっぽさにそれを書いて応募する勇気があるかどうか。でもそのばかばかしさがたまらない。

(もう書くこともないので)木島警部と警官の皆さんから一言。
 木島警部「フン、手向かいしようたって、させるものか。神妙にしろ」
 警官の皆さん「御用だ!御用だ!」

時代劇みたくてす・て・き。

おすすめ度:3

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 想像するだに痛い話だった・・・。
 バラバラ殺人はたくさん出てきたけど、右手だけを切断され、生きたままピアノの中に押し込められていた話なんて、なかったんじゃないでしょうか。フィクションとはいえ、片腕で一生を送らなければならなくなった時の令嬢の気持ちを考えると、痛すぎます。ついでに結局一ヶ月後にはもう片手も切断されて殺されるし。なんて残酷なはなしなんでしょう。
 登場人物は少ないから、すぐ犯人の目星はつくので、後はどんな動機で犯罪に走ったかが注目だったのだが・・・。何?もしかして令嬢に対する嫉妬が夏子未亡人をあそこまで大がかりな犯罪に走らせちゃったわけ? そんな無茶な。 しかし、夏子未亡人が恐怖王だったらそう言うことになるんでしょうねぇ。でもラストからは夏子未亡人の他に黒幕がいるとも読みとれる。実行犯ゴリラ男を操る夏子未亡人、その夏子未亡人の後ろに真の恐怖王、而してその実体は? どっちにしてもイマイチすっきりしない結末でした。

おすすめ度:2

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妖虫
 
 乱歩作品のいいところは美女が必ずしも助からないことです。そして無惨な最期を遂げるのは決まって美女。
 なんかね、ここに出てくる見せ物小屋の一寸法師娘は哀れなのです。あんまりかわいそうで他の内容、忘れちゃいました。
 犯人は(いつものことながら)最初の段階でわかってしまうんだけど、しかし、犯人探しは乱歩作品の神髄ではないのでこの際気にしません。
おすすめ度:3

戻ル











































 

 この話、読み出す前に誰が犯人だかわかってしまいました・・・。それもこれもすべて創元推理文庫のおかげです。この小説、連載当時懸賞付き犯人当てをやってたらしく、連載当時の雰囲気を出すためにその当時雑誌に載った懸賞当選者発表が後ろの方のページにでかでかと載っているんです。そこに当選者とご丁寧にも犯人名まで載ってるわけ。で、そうとは知らず何気なくぱらぱらとめくったのが運の尽き、ばっちり見えちゃったんですよね、犯人名。昔のままの宣伝や挿し絵があるのはすごく楽しいけど、こんな所にこんな落とし穴があるなんて明智さんでも気がつくまい(泣)。

 さてこの話、近々稲垣吾郎の主演でドラマ化されるそうです。明智さんのあの字も出てこない(翻案小説だから当たり前)のに、何故か稲垣が明智小五郎役。乱歩オリジナルの明智さん役を稲垣では大いに不満だが、翻案小説の脚色ドラマ(おそらく篠警部あたりを明智さんに変えてしまうのだろう)の明智さんなら別に構わないって気になってます。ドラマの明智小五郎は天知茂って固定概念がわたしにはあるので、よほどの人で無い限り結局誰がやっても不満が残るのかもしれません。勿論、原作の明智小五郎と天知茂ではかなり違うけど、おどろおどろしさと妖しい雰囲気は天知版明智の右に出る者はいないと思います。昔はしつこいくらい再放送したけど、最近とんとやってくれないなあ。
 江戸川乱歩だけど翻案小説であるこの作品は、純粋な推理小説として楽しめます。名前を伏せて読まされたら江戸川乱歩の著作物であると言い当てる自信ないな。

おすすめ度:4

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 戦後登場の明智探偵は50歳を過ぎ、文代さんは療養所へ、そして彼はかわいいバケモノと同居中。明智夫妻新婚当時(それ以前)にリンゴのような赤い頬のかわいらしい少年助手だった小林くんは、なぜか一人年を取らずに少年のまま・・・。『暗黒星』の時14,5歳と描かれていた小林少年と、この小林少年は小林違いなのだろうか? 謎は深まるばかりです。明智さんと20は違うとして、30ちょっと過ぎにはなっててもおかしくないんだけど。文代さんの療養所入りでやもめ同然となった50過ぎの明智さんのところで、とうに30過ぎた小林青年が嫁ももらわず、おさんどんするという図はむさ苦しくて乱歩好みではなかったんですね、きっと。それに、30過ぎた小林青年が暗黒星の一郎青年ばりの明智好みの美青年だったりなんかしたら、掲載誌を『宝石』から『薔◯族』あたりに換えなければ・・・・。なにひとりでくだらないこと言ってるんだろう。

 この作品には作者自身がヒッチコックのように登場(といっても登場人物の話題に上るだけで、音はすれども姿は見えず、の類)します。それによると、江戸川乱歩は明智小五郎の活躍を小説に起こす、ルポライター(笑)だったらしいです。しかも半分はでたらめの東スポ・ライターだったらしい。しかしこの小説に出てくる明智さんは、その乱歩が脚色して書いたのとは違う明智さん〜おそらく実像に限りなく近い〜が書かれているという設定のようで興味深いです。(そういうのだけ拾ってみるのもおもしろい)
 それで肝心の内容の方なのですが、やっぱりおもしろい! 話の中にぐんぐん読む人を引き込んでいく展開は戦後も変わらず衰えず、相変わらずのストーリーテラーぶりです。明智さんの活躍ぶりも変わらない。年を取ってなおいっそう魅力が増したみたいです。背の高い、足の長い、引き締まった体の、白髪がメッシュのように入った髪を持つ、知的な美中年…。かっこよすぎる! 冷静に考えてみれば「そりゃないだろう」と思われることも明智さんがやると「きっとやってくれると思ったよ!」になってしまうところが不思議。 
 ええと、後半クライマックスのほとんどを占める由美子夫人の日記を読んでると、アクロイド殺しを読んでるような気になってきます。犯人は予想通りで、一種の淫楽殺人だけど、殺した後に石膏詰めや生人形展示をしない分なんとなく殺した相手をただ自分の欲望を満たすだけの物質として愛しただけでなく、相手の人格も認め精神的にも愛していたような気がします。石膏詰めにされてショーウインドウに飾られたんじゃ、愛していると言われても、おまえ、人格は認めてないだろう、と言いたくなりますでしょ。まあ、どっちにしろ殺されたんじゃ一緒ですけど。して、この犯人、自殺もせず、逃亡もせず逮捕され、またその後の自分を待ち受ける運命に好奇心を抱く。常人では計り知れない心情です。昔のかみつ方は腰元にお風呂から下の世話までやらせて羞恥心が全くなかったというけれど、一般人のように縄目の辱めを耐え難く思うのではなく、面白がる神経はほんもののお姫様といえるかもしれないです。
 まあ、一番の注目は犯罪の確証を得るために出歯亀をする明智さん、かな。

 「僕は最初からすっかり聞いていたのです。暗くて見ることはできなかったけど聞くことはすっかり聞いていたのです・・・・あなたも恥ずかしいし、僕も恥ずかしいのです」 この時、明智は探偵七つ道具に赤外線スコープを加えておかなかったことを心の底から後悔した。
な〜んてね。灰色文字は勿論脚色。


おすすめ度:5

関連記事:陣内版「化人幻戯」
      乱歩R「化人幻戯」

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明智さんが出てくるまでわたしはてっきり『影男』が主役張り通すもんだと思ってました。まさか最後のほうで唐突に現れた明智さんに、主役の座を乗っ取られるとは思いもよらなかったです。私は最後まで影男の数奇な冒険談で終わらせて欲しかったな。
 とにかく、最後は明智さんの力で影男は縛につくんだけど、その護送車内シーンの影男がかわいいのです。彼には是非脱獄して頂き、影男としての一生を全うして貰いたいです。

おすすめ度:4

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 これはポプラ社の少年探偵団ものを大昔に買いました。まだ(C)平井隆の頃。今は(C)平井隆太郎ですよね。ぼろぼろになったのがいまだに書庫の片隅で埃かぶってます。内容はすっかり忘れ果ててたうえ、ドラマのほうも見逃していたので(この後見ました)今回が初読のようなものでした。我らがアイドル明智さんは残念ながら出てきませんが、それでも充分おもしろかったです。ストーリー展開もエピソードもラストも突飛でもなく飛躍もせず、こじつけ無理が無くてわりとスマートな内容でした。ホントに土曜ワイド劇場にもってこい。
 ラストの伊勢、晴美との電話を通しての遠隔心中はお気に入りです。哀れでいいシーンでした〜。たまにはいいですよね、こういう純粋なメロドラマも。・・・「二人は犯罪者ではあってもけっして悪人ではなかったのだから」この一行も気に入ってます。誰だってはずみで犯罪者になってしまうこともあるんですよね。
 しかし、南探偵は自業自得とはいえお気の毒な役回り…。背が高く頭が鋭く少年助手がいるところは明智さんそっくりなんだけど、性格の方が似ても似つかぬろくでなしだった。しかも加害者を強請ろうとした彼が口封じのために殺された時は、すでに、事件は露見していたってとこがまたお気の毒。骨折り損のくたびれもうけした上に、全くの無駄死してしまって・・・。この作品一番の不幸者は他の誰でもない、南探偵でした(苦笑)。

おすすめ度:4

関連記事:風間杜夫「十字路」

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空気男とペテン師
 
これは面白かったです。不覚にも空気男と一緒になってペテン師のペテンにひっかかってしまいました。探偵・推理小説はペテンにかけられた読者が一番幸せなんです。よってわたしは幸せ者なのだと思います。

おすすめ度:4

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明智探偵出番なし。犯人はもう最初の段階で予想がついたし。
と、いいますか、「妖虫」の評でも書いたけど、乱歩作品においては最初から犯人探しなんてするつもりはないです。そんなことより面白いものが乱歩作品にはあるから。そしてわたしはほとんどの場合それを楽しみにして読んでます。
 本編とは全然関係ないけど、ここに出てくるロスまで5時間という夢の飛行機はその後どうなったんだろう。その性能を読んだとき、わたしは真に偉大なる夢の実現を切望しました。それさえあれば日本−欧州間12時間苦行から解放されるのに。

おすすめ度:2

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『・・・かようにして、鉄管迷路のめくらめっぽうな鬼ごっこが始まった。逃げた、逃げた、汗びっしょりになって逃げまどった。明智はこんなへんてこな立場は生まれてはじめてであった。追われるものの心持ちがつくづくわかるような気がした。』

 この作品に出てくる明智さんは最高! 人間豹恩田に仕掛けた罠は裏をかかれ、右往左往、青くなったり赤くなったり筑波の蝦蟇蛙のように脂汗たらたら、そのうえ文代さんまで誘拐されて名探偵かたなし。明智さんの狼狽ぶりは(明智さんには悪いが)ホントに可笑しいです。いつも取り澄ましてる人間のあわてふためく姿ってどうしてこんなに可笑しいんでしょう。散々振り回されたその挙げ句、人間豹恩田にはまんまと逃げられてしまう我らが名探偵明智さん。明智さんの最大のライバルって、実は人間豹恩田かも知れない。後にも先にも名探偵をいいように振り回したのは恩田だけです。同じ明智さんからまんまと逃げた犯人に黄金仮面がいたけれど、なんかね、黄金仮面では明智さんのライバルとして役者不足のような気がする・・・。明智さんのライバルは人間離れした半妖怪の方がぴったりです。
 そういえば最近刊行された「奇形大全」という本に、様々な奇形の形が写真入りで載ってて、乱歩作品に頻繁に出る一寸法師、熊娘の類を見ることができるのですが、限りなくこの作品に出てきた豹人間に近いのが載ってるのです。(孤島の鬼にも出てくる人工的な奇形児なんかも載ってる)興味のある方は一度ご覧になるといいと思います。作品のイメージがぐっと現実味を帯びてきますので。

おすすめ度:5

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翻案もの。きっちりまとまっててとってもまとも。でも私はたとえ話が荒唐無稽でつじつまが合ってなくて、同じネタ・オチが水戸黄門の印籠のように出てこようと、乱歩自身が書いた通俗小説がやっぱり一番好きなんです。 
 犯人のキャラ設定が緑色狂ってのが一番おもしろかったです。いや、それ以外にもあるにはあったんですが・・。(そういえば連城三紀彦も緑色狂のサイコミステリーを書いてたけど、あれもおもしろかった)
 それと、この本の教訓(あるとしたら)は、人間、欲をかきすぎるとろくなことはないということ。うまいこと菊太郎の財産相続人に収まったんだから、後は焦らずじっくり世事に疎い老人が死ぬのを待てばいいのに、一辺にすべてを手に入れようともくろんだばかりに、すべてを失い命まで失うことになったのだから。気をつけよう(なにを?)

 おすすめ度:3

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注目は連載中に掲載された編集者側の煽り文句(創元推理文庫版に掲載)です! 
「すごい、すごい、実にすばらしい大傑作!怪奇、戦慄、大評判!刮目してご期待あれ!」
って言葉が綺羅星のように並んでおもしろいったら。今度はどんな煽り文句がついてくるか否や応にも期待がふくらみます。
 で、肝心の内容の方は・・・・。
 骨肉相喰む美しき兄弟。 「これは絶対、竜×友だね」と怪しいことを呟きながら楽しんではおりました。でも、この話って竜頭蛇尾ですよね。壮大なドラマを抱えて始まり、どんなすごい展開になるかと期待してたら、「え、それでおしまい?」って感じでした。竜次、もっとすさまじい死に様を見せてくれるかと思ったのに諦め早かったし。大暗室も『影男』のパノラマ館ほどインパクトなかったな。拷問部屋は面白かったけど。あの拷問部屋がもっ と活用されてればもっと面白かったのに。天国編より地獄編の大暗室を強調して欲しかったです。大暗室での二兄弟の死闘ってのも期待してたんですがね。極悪人竜次に捕まり拷問される正義の味方友之介なんてシーンもあったら楽しかったのになぁ・・・。
 でも、よっく考えてみると、大暗室での竜次のファッションってかなり変。なんであんな(全裸に腰蓑。毛皮製らしい。)姿なのかなぁ。もしかして作者の趣味?(悲) 
  
おすすめ度:4

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 おっと、蜘蛛男と同じネタ〜、なんて言うのは今更ヤボって感じですね。
 犯人のターゲットである腹違いの妹に仕掛けた罠は悪魔的。頭脳も犯罪計画も悪魔的。そのまま終われば希代の未解決部門猟奇殺人犯罪者譚になったはずの犯人も、物語後半も随分すぎてから現れた明智さんにおいしいところをすべてもって行かれてしまうのでした。

おすすめ度:3

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 翻案小説だから愛しの明智さんは出てきません。
 とにかく美人は得ってことがいやでも思い知らされる話でした・・。ここのヒロインは美しいが故に、あっちからもこっちからも救いの手がさしのべられるのです。もしこのヒロインが凡庸な顔だったら、まず最初の段階で無実の罪を着せられたまま、誰に助けられることもなく監獄で生涯を終えることになったんだろうなあ、と思ってしまいます。これだから「妖虫」の殿村夫人のように容姿冷遇コンプレックスで犯罪に走る女性もでてくるんですよねぇ。でもまあ、ヒロインは美人に越したことないんだよな。(ちぇっ(-_-#))とか言ってる私の好きなのはやっぱり美しい悪女。緑川夫人とか、大河原夫人とか。
八方丸く収まるいいことづくめの大団円ストーリーだったけど、ご都合主義のハッピーエンドすぎるのってつまらないものです。結局、この話の登場人物はどれも好きになれなかったし。特に語り手の北川光雄は大嫌い。唯一おもしろい人物だと思ったのは黒川弁護士・・・・。執念深い割には妙に潔くて面白い人でした。

おすすめ度:3

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 陣内孝則の明智小五郎でやったのは記憶に新しいです。この時の文代さんは原作のイメージに一番近いかも。因みに私は天知版明智(岡田奈々が出てたと思ったけど)での地獄の道化師も覚えてます。再放送で何度かやってるはず・・・。  
 硫酸で顔を焼くという方法、映像で見たときはさすがにぞっとしました・・。硫酸と言えば、私はみや子が用いた薬は硫酸とばかり思ってたけど、原作では劇薬としか書いてなかったんですね。どっちにしても恐ろしいことです。
 そういえばこの事件で明智さんに依頼が来た理由ってのが、『気狂いめいた不気味な事件を得意とし、彼が解決した有名事件は偏執狂の犯罪』だからだそうで。世間では変質犯罪専門探偵と思われているんですね、明智さんって。喜んでいいのやら悲しむべきなのか・・・・なんだか妙な気分です。

おすすめ度:4

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黒蜥蜴といえば三輪明宏。豪奢で退廃的なバイオリン曲にのせて繰り広げられる(といってもCM曲が劇中でも使われたかどうかは不明)三島由紀夫脚本のお芝居。このお芝居を観てみたいです。今度芝居がかかったらきっと見に行こう。
 しかし、この長編の明智さんてば期待通りに動いてくれて読者としてはストレスがたまらず気持ちいいったら。唯一期待と違ったのは緑川夫人の最期のシーンで彼女が明智に唇をねだったとき、明智さんが彼女の額に口付けたところですね。普通、唇にするよねえ。つれないなあ、明智さん。

おすすめ度:5

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三輪明宏 舞台『黒蜥蜴』










































暗黒星

「ウフフフフ、どう考えてもおかしいですよ。僕はまさかあなたにこんな看病していただこうとは、夢にも思いませんでした
「僕だって、こんなまねははじめてだよ。変装というようなことは好きじゃないのだが、君があんなに頼むものだからつい負けてしまったんだよ」 
(本文抜粋 ハートマークは冗談)


 明智探偵、美青年の魅力によろめくの巻(笑) このウフフフフって台詞、なんとかならないのかなあ・・・。可愛らしく笑っているのはわかるんですけど、ウフフフフはどうかと思う。そういえば蜘蛛男でもウフフフフ攻撃が・・。(でも笑いの主は蜘蛛男〜。か、かわいくない)
 とにかく一郎の美青年ぶりの書き込み方はその辺の耽美小説に勝るとも劣りません。すごいです。「美青年」ていう単語(及びそれに類する表現)だけでも20回は出てきました(そんなもの数えてる私も相当暇人)。 乱歩が歴代登場人物随一と言っていいほど執着して描いた一郎青年の美貌を創元推理文庫版の挿絵で見ることができるのですが、明智さんはともかく肝心の一郎青年がオヤジくさくてちょっと。(頭でかいし・・・)
 なにはともあれ、美女の依頼人より美青年の依頼人に対しての方がより親身な明智さんに要チェックなのです。

おすすめ度:5

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幽鬼の塔

ウフフフフ・・・わたしこれ、ちゃんと読んでたんですね。あんまり印象薄くて忘れてました。でも五重塔・首吊り自殺者にまつわる謎の語り口は、翻案とはいえやっぱり乱歩。次はどうなるのだろうと話の中に否が応でも引きずり込まれます。事件は解決してみれば、何てことないありがちな設定だったんですけど。

おすすめ度:3

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