黙劇内容(番外編) その13
「陰 獣」

陰獣
おすすめ度★

寒川 佐野史郎
静子 川島なお美

「陰獣」を現代に置き換えて演出。寒川を無理矢理明智にしなかったのは評価できるが、それ以外は・・・。とにかく原作の内容、アイテムを現代のものに置き換えようとするのは何かにつけて無理があった。キャスティングはとってもいいと思うのに、あの脚本では出演者が気の毒。とくに小山田夫人は原作の持つ哀れさがまったく損なわれていてつまらないものになっていた。川島なお美で静子夫人はぴったりだと思うので、願わくば原作通りの設定で作り直して貰いたいものだ。

関連画像 帝室博物館
吾妻橋
2001年4月某日

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目撃内容 その12
D坂の殺人事件/カセットドラマ
おすすめ度★★★


明智小五郎 他朗読 寺田濃

「D坂の殺人事件」 寺田濃の朗読で送る明智さん。明智小五郎20代の事件にしては寺田濃ではちょっと老けすぎているが、じっぐり原作の雰囲気を味わいたい人にはお勧め作品。

関連画像 団子坂
某月某日

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番外編 その11
押し絵と旅する男・人間椅子/ラジオドラマ
おすすめ度★★★
わたし・兄さん 広川太一郎
お七 だれだっけ

捨てようと思っていた古いカセットを整理していたら出てきた。相当昔のものと思われるが、確かNHKラジオドラマで1週間ほどやったのを録音していたのだと思う。他に目羅博士なんかがあったような気がしたんだけど、今となってはどこへいったやら。それはさておき、原作に忠実に堅実に作っている良質な作品だと思う。(特に兄さんの情けなさそうなしゃべりが好き)
平成13年3月某日

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目撃内容 その10
みだらな喪服の美女 原作「白髪鬼」/土曜ワイド劇場再放送
おすすめ度★

明智小五郎 西郷輝彦 大牟田敏清 寺田濃
小林文代 星遙子 大牟田瑠璃子 杉本彩
織田早苗 松金よね子 川村義雄 内田直哉
浪越警部 河原さぶ

 西郷輝彦の明智小五郎シリーズ。複数の原作を融合させて作ったのではなく、とりあえず「白髪鬼」一本に絞ったもよう。かなり原作よりだけど、ラストシーンやラストシーンにつながるエピソードは変更してある。大牟田男爵も瑠璃子夫人も改心してしまうし。ラストなどは原作通りの方が凄みがあってよかったのに。だいたい西郷版シリーズは文代さん(何故に小林文代だなんて無理をするかなあ)の設定にしても不満だらけなのだが、もう一ついけないのは美女役が大根だってこと。杉本彩の瑠璃子役は見かけはいいのだが、大根なんだな〜。ヒロインが大根だとドラマのおもしろさが5割かた落ちてしまう。そういえばこれには荒井注が出てなかった。
 ところでこの明智さん、報酬はもらっている様子もないし収入もない様子。あの豪邸に秘書兼家政婦付でどうやって生活を維持しているのだろう?
平成13年3月某日

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目撃内容 その9
黒蜥蜴
脚本/新藤兼人
劇化/三島由紀夫
音楽/黛敏郎 作詞/三島由紀夫
監督/井上敏次
おすすめ度★★★(いろんな意味でホームラン)

明智小五郎 大木実
緑川夫人(黒蜥蜴) 京マチ子

 そうそうたるメンバーで作り上げた究極のドサ周り・ミュージカル。当時としてはものすごく画期的な作品だったのだろう。(とてもそうは思えないけど)
 とにかく、全編に鏤められているへんな歌が耳についてしょ〜がない。あの垢抜けない歌、ほんとに三島が作詞したんだろうか。信じられない〜。三島に対するイメージが歌詞の通り「下水」に流れていく・・・。へぼも過ぎると笑うより困惑する。制作されたのは昭和37年だっていうけれど、(しつこいようだが)当時はあれでいっぱいいっぱい最先端なつもりでいたんだろう。と〜に〜か〜く演出がすごい。ミュージカル仕立てなのだが、そのミュージカルぶりときたら植木等の無責任男の影が背後にちらつく野暮ったさ、そっと肩をたたいて「無理すんなよ・・・」と言ってやりたいくらい。映画をかっこよく盛り上げるはずのナンバーも妙にいい歌唱で歌い、まるで大学のグリークラブかダークダックスのB面を聴いているよう。あらゆることにかけて微妙な笑いを誘う世界だった。
 ああ、でも京マチ子の黒蜥蜴はなかなか雰囲気があってよかったと思う。明智さんはほんと品行方正ってかんじ。歴代の誰よりも紳士的な明智さんだったけど、貰うものはちゃんと貰っている様子。そう、明智さんの一月の報酬は当時100万円らしい。しかも自分で依頼者に金額ふっかけているところがすごい。ここの明智さんの生き方って、北村想の「怪人二十面相・伝」に出てきた計算高い明智さんに近いものがある。
 一見の価値がある映画だった。いやあ、もう、なんか今までになく楽しい映画だった。

謝辞:この映画を見る機会を与えてくれたみちるさま、若旦那さま、ありがとうございました。
平成13年2月某日

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番外編 その8
陰 獣
おすすめ度★★★

寒川 三田村邦彦
静子 古手川裕子

 今まで、いろんな乱歩ものを観てきたけど、一番理想的なドラマだったような気がする。(陣内版は最初から除外。他とあまりにも路線が違うから比べようがない) 時代設定もそのままだし、多少脚色はされているが十分原作に忠実だ。それになにより、寒川が明智になっていないところが気持ちよかった。映像もきれいだし、過剰なSMシーンがなくても十分静子の妖しいまでの美しさ、淫靡さ、哀れさが出ていたと思う。良質な乱歩ドラマだった。静子夫人役の古手川は最高によかった。(稲垣版「陰獣」のときの謎だった私が以前観た「陰獣」はこれだった)

関連画像 帝室博物館
吾妻橋

平成12年5月24日

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目撃内容 その7
名探偵明智小五郎(4) 原作「吸血鬼」
墓から消えた遺体と埋葬品・・・隠れキリシタンの里で今夜、吸血鬼伝説がよみがえる!
おすすめ度★★

明智小五郎 陣内孝則  畑柳倭文子  有森也実
文代 森口瑤子 畑柳庄蔵 陰山 泰
小林 目黒勇樹 畑柳房夫 赤羽秀彦
浪越警部 伊武雅刀 畑柳道彦 デビット伊東

 はっはっっはっははっは!(大爆笑!!!)小林くんが〜!万年少年の小林くんが成長してたぁ〜ああっはっはっは〜ひぃ〜、おかしい〜。何年かに渡ってシリーズでやるからには目黒勇樹も大きくなるしどういう扱いになるのだろう、俳優変えるのかなと思ってたら成長させちゃったよ。思い切ったね、どうも。でも小林くんが成長したら二十面相の姿も消えてしまった(悲) 今度はどんなくだらない登場をしてくれるのかと楽しみにしてたのに(悲悲) 二十面相を返して。
 さて、今回の底本は『吸血鬼』らしいが、吸血鬼の登場人物の名前だけ使ったオリジナル作品だった。原作と同じだったのは毒杯決闘ぐらいであとはまったく別の作品。ここまで変えてしまうなら潔く『オリジナル』と言ってしまえ!
 このシリーズも回を重ねるごとに原作から内容が逸れてきてしまってちょっと残念。多少違ってもいいんだ。2,3作品融合してしまっても一向にかまわないけど、原作と似てもにつかないものを作っておいて原作は何々です、っていうのは止めて貰いたい。まったく、房夫と畑柳未亡人が義理の親子ってのもすごかったけど、まただよ。また房夫が最初の方で死んでるよ〜。どうなってるんだよ〜。なんでほのかな薔薇の香りのする(乱歩好みの)美青年が、脇役並のどうでもいいような死に様なんだよ〜。勘弁してよ〜。西郷輝彦のからくり人形の美女の時もそうだけど、もしかして乱歩のドラマ版吸血鬼の犯人は、未亡人にしなきゃいけないっつう暗黙の掟でもあるわけ? それとも実は私が間違えて犯人覚えているとか? だんだん自信が無くなってきた。なんかさ、前にもぼやいたと思うけど、別に犯人美女説に拘らなくてもいいと思うんだけどな。美女を犯人にしたいのなら、なにも美青年が犯人の吸血鬼や暗黒星底本に選ばなくても良いと思う。
 しかし、陣内のうるさいくらいのオーバーアクション、今回もさえ渡り(笑)。 でももっと前髪ちぢれさせてくれなくちゃいやだ。たまにもじゃもじゃがとれて、ストレートになってしまっててショック。わたしは陣内のもじゃもじゃ前髪が気に入ってみてるんだから。もじゃもじゃ前髪を返して。しつこいようだけど、二十面相を返して。
 追記:そういえば二十面相、ラスト近くで帝国美術館の宝石を盗み取ったという結果報告だけがされていた。影も形もなくなるよりかはマシだけど、やっぱり姿ぐらい見せて欲しい。
平成12年4月19日

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目撃内容 その6
吸血カマキリ「名探偵明智小五郎(2)
原作「化人幻戯・陰獣・怪人二十面相」
吸血カマキリ・恐怖の猟奇連続殺人!!のぞかれた禁断の世界・・・熱い素肌に殺意が宿る!!」
おすすめ度★★★

明智小五郎 陣内孝則 大河原由美子 とよた真帆  
文代 森口瑤子 大河原伯爵 南原宏治
小林 目黒勇樹 浪越警部 伊武雅刀
(二十面相) 高杉 亘

 夜、タイマーセットの確認して朝にもう一度チェック。せっかく気に入って観てるのに録り損ねたら泣いても泣ききれない。と、いうことで帰宅早々ビデオを再生して、すっかり気に入ってしまった陣内版喜劇風オーバーアクション明智小五郎を鑑賞する。
 本日の底本は『化人幻戯』だ。化人幻戯といえば舞台は戦後、明智小五郎は50歳を過ぎ、夫人の文代さんは胸を患って転地療養中で、小林くん(何故か一人年もとらずに少年のまま)と二人で暮らしていると原作には書いてあったが、ドラマになったらそんなこと知ったこっちゃないって感じだ。
 さて、今回も大昔の無声時代劇映画+喜劇風の設定炸裂で小気味よい仕上がりになっている。大河原伯爵のコミカルな動き、蘭子と村越のSMシーンなんてゼンマイ仕掛けの人形のような蘭子の動きがドラマの性質にマッチして、何度見ても(何度も見ちゃいないけど)妙なおもしろさを出している。少し「陰獣」の要素を取り入れ、大河原伯爵にSM趣味と妻の寝室覗き趣味をプラス。筋に関しては由美子夫人はかなり変更が加えられているが許容範囲。夫人と明智がかつて恋人同士という原作設定はなかったけど、夫人が明智に惹かれていたのは確かだし、違和感は無かった。夫人の過去に川島芳子をモデルにもってきたり、伯爵に復讐を目論んでいたのは原作と大いに違う。原作とドラマと違うとたいがい腹が立つものだが、原作の根幹に関わるものが変更されてなければそれほど腹も立たないものだ。犯人が変更されてなければとりあえずOK。
 そうそう、もう一つ大事なこと忘れてた!このシリーズの何が嬉しいって、それは毎回二十面相が拝めること!今回の二十面相は恒例アドバルーンに乗っての逃走劇を披露。ドラマの最後には帝室博物館のお宝頂戴の予告までしてくれた。明智小五郎と二十面相同時に見られるなんてかなりお得なドラマだった。
関連画像 帝室博物館
グーテンベルクの聖書(二十面相ターゲット)

平成12年4月18日

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目撃内容 その5
地獄の道化師 名探偵明智小五郎(1)
地獄の道化師・恐怖の裸女連続殺人!!愛欲の事件の陰に意外な真実が・・・あの名推理が今夜よみがえる!!
おすすめ度★★★

明智小五郎 陣内孝則 あい子   野村真美
文代 森口瑤子 みや子  山下容莉枝
小林 目黒勇樹 白井  石橋 保
浪越警部 伊武雅刀 (二十面相) 高杉亘

怪人二十面相に襲われていた小林少年を明智小五郎が助けたところからシリーズスタート。(この時、明智小五郎の投網にかかった二十面相はなぜかコウモリになって脱出。一体何者なんだ、二十面相!)そしてこの時二十面相に襲われていた身よりもなく行くところもない小林少年を、明智は引き取ることになる、というぐあいだ。初めてじゃなかろうか、小林少年が明智の家に同居するきっかけをやったのって。原作者でさえ、小林くんが明智邸に同居しているわけを説明してなかったような気がするので、これってある意味画期的(笑) 
 さて、ドラマの底本はタイトルどおりの『地獄の道化師』。ちょこちょこと設定は変えてあったけど許容範囲。死ぬ人、生き残る人が変わっても、たいした問題じゃないです。問題なのは犯人が変わってしまうこと(恨みは深いですよ、西郷版明智小五郎)。その点このドラマは筋も原作にほぼ忠実で変にいじくり廻して無くてよかったです。みや子、あい子、白井などの主要登場人物の役者にも満足。みや子役なんか、口元に笑いを浮かべながら優しく「いいんですのよ、わたくしさえ我慢すればいいのですから」なんていうところなんか不気味でうまかった。口ぱくのアリアも笑えたし。あ、そう言えばみや子が顔にかぶる薬品(原作では劇薬としか書いてなかった)のラベルに「硫酸」って書いてあった。やっぱり焼き爛れ系の劇薬は硫酸ですよね。
平成12年4月17日

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目撃内容 その4
六甲幻の美女 原作「押し絵と旅する男」/土曜ワイド劇場再放送
おすすめ度★

明智小五郎 北大路欣也 浪越警部 坂上二郎
文代 高見恭子 美女(忘れた) 南条玲子
小林 だれだっけ

 北大路欣也の明智小五郎。押し絵と旅する男が下敷きだけど、内容は乱歩の原作とは全く関係なし。いっそ気持ちいいくらい関係なし! だいたい明智ものっていうより、オカルトだったなあ。明智小五郎って冠してなきゃ、私、間違いなく見なかったよ…。ついでに言わせて貰えば、オカルトとしても推理ドラマとしても失敗してると思います…。もっとも、作った方では視聴率さえとれりゃ、そんなことどうでも知ったこっちゃないんでしょうけど。だいたい、あれって視聴率取れたのかしら。
 ついでにヒロインが大根なんですよね・・・・。文代さんは可も不可もなし。小林くんはどうみても小林青年だった。

平成12年某月某日

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目撃内容 その3
からくり人形の美女 原作「吸血鬼」/土曜ワイド劇場再放送
おすすめ度★

明智小五郎 西郷輝彦 織田早苗 松金よねこ
小林文代 星遙子 浪越警部 荒井注
倭文子 美保純 三谷房夫 山下規介

 荒井注〜の浪越警部だああああああ!観たかったよ、注さんの浪越警部!これで明智が天知ならなあ…。
 西郷版明智小五郎、はじめてみました…。感想は、別にいいんじゃない?天知茂の明智小五郎と比べたら、なんだって物足りないけど。まあ、美女(=依頼者)との関係も惹かれながら、危うい線を行きつ戻りつする緊張感のある関係だし。明智は美女の色香に惹かれるんじゃない。美女から漂う犯罪の匂いに惹かれるって思ってるから満足でした。
 それで、ドラマの内容はというと…。いいんじゃない?別に(part2)。舞台が美少年を集めて踊らすマニアなクラブでも、犯人と被害者が入れ替わっても、文代さんと小林くんが合体してても…。もういいですよ。好きにやってって感じ。ただし、いじるからには単独でもみせるものを制作していただきたい。ただ『明智』って名によっかかってるだけでは、不出来なパロ同人誌とおんなじ。
 それにしても・・・。、小林文代ってのは一体何事? 何が悲しくて文代さんと小林少年が合体しなきゃならないだろう? ついでに犯人と被害者が逆転しているのが気に掛かる。土曜ワイドは天知の時代から「美女」が主体だから、何が何でも美女を犯人に仕立て上げなければ気が済まないのだろうが、別に「美女」にこだわる必要、なかったんじゃないかな。過去の作品についていまさら言ってもしかたないけど。
平成12年3月8日

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目撃内容 その2
エレベーター密室殺人事件 原作「三角館の恐怖」 稲垣吾朗主演 明智小五郎シリーズ
おすすめ度★

明智小五郎  稲垣吾郎 波越警部 きたろう
惟任萌黄子  吉行和子 天野桂子 麻生祐未
天野芳雄  国広富之

 乱歩翻案「三角館の恐怖」を下敷きにした明智シリーズ。一応、観た。観たけど…ねぇ…。篠警部が明智に置き換えられるということはわかりきっていたことだけど、明智と桂子が元恋人同士だったってのはどうも。どうしてそんな無理するのかな。しかも二人の関係は「魔女の条件」未遂。なんだそりゃ? なんだそりゃ?なんじゃいそりゃああ〜!! 稲垣版で明智の設定って、ヒロインとの絡みが妙に生々しくて(なにが一番嫌かって、明智が美女のこと想像するシーン(鳥肌)。ストーカー男の妄想見せられてるみたいで生理的に好かん)退いてしまうのです(苦) サービスのつもりなのかなあ。明智とヒロインの生々しいラブシーン見せられるくらいなら、まだ美女が全裸惨殺死体になって水槽で漂ってるほうがよっぽどいいや。
 で、結局おもしろかったかと訊かれたら、通常のサスペンス劇場としてもお粗末な部類でした、と、答えさせていただきます。そこで結論。稲垣版明智シリーズがサスペンス劇場としてもヘボなのも、稲垣版明智が一歩間違えれば欲求不満妄想男になりかねないのも、みんなみんな…あの脚本が悪いんです。もっとマシな脚本家を切望します。
平成12年2月

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目撃内容 その1
陰獣 原作「陰獣」 稲垣吾朗主演 明智小五郎シリーズ
おすすめ度★

明智小五郎 稲垣吾郎 波越警部 きたろう
惟任萌黄子 吉行和子 小山田静子 秋吉久美子

 本来明智ものでない作品を明智ものに焼き直し、その明智を演じるのがは稲垣吾郎。(で、その身分は推理作家兼大学院生?それとも助手?もしくは研究生?)。静子夫人には秋吉久美子。
 これを見る以前に誰かの「陰獣」を見た記憶がある私。私が以前見たのは稲垣版陰獣だったのか・・・と、思いながら見ていたところ、どうも様子が違う。記憶にあるのは洋館と金髪美女と薔薇の花束の鞭、それと静子が大江夫人に化け、編集担当者に原稿を渡すときは遊園地ではなく、玄関先でガラスの引き戸越しにぶっきらぼうに投げ渡しす・・・・。これはやっぱり天知版陰獣だったのだろうか。それを稲垣版を予告編か何かで見て混同したのだろうか。(だいたい本当に天知版だったのだろうか〜????)
 それで、稲垣版陰獣なのだが、大筋は原作に沿っているが、時代設定は違う、トリックは違う、被害者も違う(と、いうか増えた)、出てこないはずの明智は出てくる(それを言っちゃおしまい)でかなり無理があったみたい。とにかく明智と静子夫人との関係がまず無理。明智さんのキャラクターからいくと、簡単に依頼人の美女といい仲になったりしない。いや、なっちゃいけない。お互い惹かれあい、あやうい境界線を漂いながらそれ以上は踏み込まない。踏み込まないからこそ、美女はあくまで謎めいて美しい。それなのに、いきなり一線を越えて鞭でブチブチの仲になってしまったのでは007と一緒(悲)。妖しい心の揺れが理解できない無粋な話になってしまって私は悲しい。(天知版?はどうだったんだろう?鞭でブチブチはしていたような気がするけど、それ以上は不明。なんとなく、天知版のって文代くんの目が光っているってイメージがあるから危ういところで邪魔が入っているかもしれない)
 陰獣はとにかく明智=寒川でうまくいく原作ではないのは(私的には)確かなのだが、それ以前に、〜身も蓋もない話になるが〜 稲垣が明智というキャスティング自体が間違っていると思う。稲垣吾郎はどちかといえば、江戸川乱歩作品の中では依頼人タイプ。人間豹の神谷青年や妖虫の素人探偵青年あたりだったらよかったと思う。だいたい文代さんも小林少年も出てこない明智ものなんて明智ものじゃない〜!!!
 そういうわけでこの稲垣版陰獣は、私にとってはあまりできのいい明智ものであるとは、残念ながら思えなかった。
 さて、稲垣版明智小五郎は次回作として「三角館の恐怖」をやるらしいが、この調子で行くとなんかとてつもなくイヤな予感がする。アイドルも脚色もいらん。私はなにもかも原作通りの設定で作ったドラマを切望する。いや、やってください。お願いします・・・。

関連画像 帝室博物館
吾妻橋
平成11年12月18日



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