目撃内容 その25 「平成アチャラカ座」「ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル」提携公演 ミステリー・ミュージカル・コメディー 「オバラ座の怪人二十面相」 脚本・演出=平哲郎 おすすめ度★★1/2(二十面相的には★★★) |
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観劇作品を選ぶ基準が元々違うので作品の出来云々はあんまり言えないということを前提に記載します。つまり私の今回の目的は二十面相ただひとり!(それと小堺くん)。二十面相か明智さんが登場人物に名を連ねていたらとりあえず観に行く、動機が不純な観客なのです。 このミュージカルを発見したのは今年の幕の内が開けてからでチケット争奪戦には完全に出遅れました。余っていたのがラッキーってくらいで、座席位置がかつてないくらいに悪かったです。もう、涙が出るくらい最低でした。でも本多劇場ってところはかなり舞台と客席が接近した設計になっているので、はっきり言って帝劇のS席より舞台はよく見えます。役者の目の動きが見えるくらい。ただし、二十面相的には舞台に向かって左側の席でなければ絶対損です。右壁天井付近の窓から二十面相が何度か顔を出すシーンがあるので、右側(後方席20番以降)席では見えないのです。手の動きしか見えないのです・・・。がっくり。演出、考えて貰いたいですよ。 この30日の公演は不手際があったようで、第2幕の口上、劇中漫才、劇中劇「与情浮名横櫛」が飛ばされて最後にもって来られびっくり。ほんとは(例)「1.2.3.4.終幕」であるところ、「3.4.終幕.1.2」になってしまったんです。2幕開始時にそのアナウンスがあったとき「そんなことしても支障がない劇なんだ!?」ってまわりの人たちが苦笑してました。確かに特に支障はなかったです。大団円のあとにおまけとして「アチャラカ劇」がありましたって感じになっただけ。でも「終わった!」という気がせず、ちょっと宙ぶらりんな気分のまま帰路につくことになったのはやはり残念でした。アンコールもなかったし。 ストーリーはというと、『オバラ社長が所有する「ロマノフのダイヤ」が二十面相によって予告盗難され、さらにオバラ社長の劇団「オバラ座」の一番大事なものを頂戴するという予告状が突きつけられる。明智探偵、中村警部ら警察が警護する中、オバラ座新春公演出演中の一流芸能人が誘拐された。オバラ座の一番大切なものとは「一流芸能人」だったのだ。二十面相は一流芸能人を人質にオバラ社長が所有する黄金の仏像を要求してきた。交換場所はオバラ座に演技の修行に来ている元少女探偵花崎マユミの叔母・緑川夫人(元黒蜥蜴)の館だった。必ず一流芸能人を取り戻す宣言する明智に緑川夫人は二十面相の肩を持ち、明智探偵が勝つか二十面相が勝つか「自分の持つすべての宝石」と「明智の探偵の職業」をかけて勝負しようと持ちかける。一方、姪のマユミは独自に二十面相追跡をはじめ、二十面相の行動心理を探るためヴォルチモアのレクター博士の下を訪れる。マユミをバックアップしていた元少年探偵小南だったが、収監中のレクター博士をマユミがこっそり連れ出したのを目撃、さらに緑川夫人と二十面相が一緒にいるのを目撃し不審を募らせる。そして舞台は怒濤のごとくラストへむかいなだれ込み、明智探偵、マユミ、緑川夫人と二十面相入り乱れて実にバカバカしくもナンセンスな大団円を迎えるのであった。』 (キャスト) 斉藤晴彦は原作の明智のイメージとは正反対の、普通だったら思いつかないくらいかけ離れた配役の明智でした、が、これは「明智小五郎」を見せる芝居じゃなくて「アチャラカ劇」と「ジャパニーズ・ミュージカル」を観るための芝居の配役なので、それはそれで良かったと思います。ただ、他の役者さんに比べて声が小さい・・。お昼ご飯食べないで出てきたのかしら?と思うくらい弱いのです。中村警部役の三波伸一やオバラ社長の清郷流号の声が通るから余計小さく聞こえる。後からわりと聞きやすくなったからマイクのボリュームあげたのかな。斉藤晴彦の見せ場はオバラ座の劇中劇、モーツアルトやメンデルスゾーンなどのクラシックを使っての任侠ミュージカルだと思います。早口なので何言ってるのか分からない部分もあったけど、これは面白かったです。 怪人二十面相役の人(今拓哉)は今までで一番!の理想の二十面相でした(近藤正臣の二十面相は別格です、念のため)。背が高くて二枚目でタキシードがばっちり決まってて。今までのチョビ髭中年男の二十面相とは全然違う。同じヒゲでもヒゲ違いです。「また会おう、明智君!ンむワーッハハハハっ!!!」のこの高笑い、登場するたびに繰り出される激しいかっこつけ、ポーズ、オーバーアクション。あまりのオーバーアクションぶりに脇で見ていた小南元少年探偵(松田洋治)に「もう気は済んだか?二十面相・・」と言われる始末。ふうう・・・、これですよ、これ。私が二十面相に求めていたのはこのスタイルだったのですよ!存在事態理想的なだけじゃなく、この二十面相、声がやたらといいんですよ。よく通るし、もっとすごいことに歌がうまい。聞き惚れてしまいます。もう、なんなの?どっから探してきたの?この役者(あまりの理想像ぴったりさに錯乱ぎみ)〜! やっと理想の二十面相を巡り会えた気分なのに、出番があんまり多くなかったのが残念でした。二十面相は基本的に黒マントにシルクハット、マスク(目の部分だけ覆うタイプ)、タキシードの典型的二十面相ファッションなんですが、奇術師Mr.ファントムのオペラ座の怪人ファッションもやたらとステキでした(踊ってたし)。小堺くんを消失マジック用のボックスに入れるために手を引いて中へ誘うんですが、そのとき小堺くんの手に重ねられた二十面相(Mr.ファントム)の手がはっとするほど白いんですよ・・・。色白なのかしら?手にまでどうらん塗ってるのかしら。どっちにしても最大のみっけものでございました。映像化もこの人でやって貰いたいくらいです!!!! 緑川夫人=黒蜥蜴にローリー寺西。これは今回の密かな楽しみ、最大の期待配役でした。黒蜥蜴にローリーと聞いただけであやしさ120%、ほんとにイヤラシイ子ねっ! あ、つい黒蜥蜴の口癖が乗り移ってしまった。はい、この黒蜥蜴、なにかというと「イヤラシイ子ねっ!」を連発するんです。赤い派手な振り袖を着てしゃなりしゃなりと歩く様子、カメレオンみたいに辺りを見回す犯罪者めいた目線、得体の知れない地球外生物が寄生しているんじゃないかと思われる演技が期待通りで楽しかったです。緑川夫人、男装(?)姿も背中を大きく開けた黒いドレス姿も見せてくれます。もちろん、歌も。それと二十面相との(秘)な関係も笑えます。ローリー黒蜥蜴、見て損はないです。むしろとってもお薦め。 マユミ=絵麻緒ゆう 発声もしっかりしてて声も通ってよかったです。普段は眉毛がないそうです・・ムッくんが劇中で暴露してました。ゆうさん、素で笑っちゃってました。 名探偵元少年小南=松田洋治。ちらし見たときからどっかでみた字面だ、どこだろう、なんだろう、と思っていたら「もののけ姫」のアシタカ役の声優さんでした。このミュージカルの狂言回し兼唯一まともな存在。小南というだけあって赤い蝶ネクタイに半ズボン、髪のてっぺんも跳ね上がって思い切り名探偵コ○ンのパロ。小南って「こみなみ」じゃなくてそのまんま「こなん」だったんですね。この小南くん、ラストに大役がまわってくるんですが、わたしには元ネタがわからなかった。たぶん有名なコメディーのパロなんだと思う。みんなが大受けしてるのに私だけ「?」で寂しかったです。たとえ意味不明でも雰囲気で笑っちゃいましたけど。 一流芸能人=小堺一機。私が8日間ある公演で、平日でマチネしかない30日にわざわざチケットをとったのは、この日のゲストがムッくんだったからに他なりません。スタジオリスナーご招待も青いゴムゾウリ大会も武道館もカンコンキンも行きたかったのに行けなかった、その反動が私に有給をとらせたのですわ。オバラ座劇中劇での一人小話、剥製人間、口上、ムッくんが一番面白かったです。「一流芸能人の小堺一機!」と言われるたびに見せる複雑そうな表情も笑えたなあ。大げさでもなくシンプルで控えめなのに、前にも何度か聞いたことあるネタなのにやっぱり笑えるムッくん。話が上手で場の空気を読むのがうまいんだろうと思います。30日にしてよかった。 (他) 場内アナウンスとMCが白石冬美と野沢那智、ナッチャコ・コンビでした。劇中にもヘンリー8世風の衣装をつけた雨宮にネコ目が「パタリロみたいな格好して」という台詞も。 (総評) お金と時間をかけて作ったミュージカルのような豪華さはないけれど、気軽に楽しく、一粒で3度おいしいようなミュージカル・コメディでした。二十面相最高〜! (追記) みっけもの二十面相役者・今拓哉について調べてみたら元劇団四季の役者さんでエリザベートの革命家エルマーをやっていたことが判明。どうりで歌がうまいわけだ!・・・・エリザなら観ましたよ・・・ってことは必然的に今拓哉も観たってわけで。けど全然記憶にない。エリザのパンフ引っ張り出してみてみたら、確かにいました。 (補足) 管理人絶賛、今拓哉氏・二十面相に興味を抱いた方はよるさり様HP 「よるさり的音楽劇談話」へGO! 関連記事 当HP内「二十面相談話室」:2004/01/31 |
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2004年1月30日 |